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■ 糖尿病Q&A

一般編 症状 糖尿病の診断 運動療法
食事療法 内服療法 インスリン療法 最新の治療

一般編
Q.1 糖尿病はどのような病気ですか?
A. 膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンの不足や効きにくい状態になるため、血液中のブドウ糖(血糖)が正しく利用されずに血糖が高くなる病気で、1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型は病原体から自分の体を守る免疫作用が誤ってβ細胞を攻撃し、壊してしまうためにインスリンがほとんど分泌されなくなります。2型は日本人の糖尿病の95%を占め、遺伝+環境(過食、肥満、運動不足、ストレス 等)でインスリンの作用が低下したり、分泌が悪くなることで高血糖状態となります。遺伝因子のみでは糖尿病は発症しません。

Q.2 血糖とは何ですか?
A. 食物より得られた炭水化物(糖質)は腸で消化されブドウ糖に変えられて血液の中に入ります。この血液中のブドウ糖を『血糖』といい、この値を『血糖値』といいます。健康な人の血糖値は日常生活の中でインスリンの作用により 60〜160mg/dlの範囲に保たれています。
経口摂取された炭水化物は
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.3 インスリンとは何ですか?
A. 血液中のブドウ糖(血糖)は細胞内でエネルギーとして利用されます。この時ブドウ糖を全身の細胞に 取り込む役割をするのがインスリンです。

Q.4 糖尿病の治療は一生涯必要ですか?
A. 糖尿病は現代の医学ではまだ治りません。しかし、食事・運動療法を基本に必要に応じて薬物療法(経口薬・インスリン注射)をして良好に血糖コントロールを行い、合併症を予防することで健康な人と同じ日常生活を送ることができます。

症状
Q.1 糖尿病の症状は何ですか?
A. 糖尿病はほとんど無症状のまま経過します。 時に自覚症状として口渇、多飲、多尿、倦怠感等がありますがこれらは糖尿病がかなり悪化しないと現われません。症状がないからと放置せずに定期的に診察や健診を受けましょう。
また急激に体重が減少したときは、極度のインスリン不足による高血糖状態が考えられます。糖尿病のコントロ−ルがかなり危険な状態ですので直ちに糖尿病専門医を受診してください。
高血糖が続くと…
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.2 糖尿病の合併症にはどのようなものがありますか?
A. 高血糖により血管や神経が障害を受け、頭の先からつま先まで至るところに合併症が現われます。網膜症、腎症、神経障害は糖尿病の三大合併症と言われます。他に動脈硬化症による狭心症、心筋梗塞、脳梗塞があります。また、高血糖は血液中の白血球の働きを鈍くさせ免疫力が低下することから、肺炎、肺結核、爪白癬等の感染にも注意してください。
血糖コントロール不良
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.3 低血糖にはどのような症状がありますか?
A. 血糖値が70〜50mg/dlになると、発汗・動悸・顔面蒼白等、さらに進んで眼のかすみ・生あくびが出現し、50mg/dl以下になると意識レベル低下による異常行動・けいれん・昏睡等になります。
低血糖は内服療法(主にSU薬)やインスリン注射をしている方に起こる危険な状態です。食事と、運動や治療薬の血糖降下作用のタイミングがずれたときに起こりやすいため注意してください。
血糖値が70mg/dL 未満を低血糖と呼ぶ
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

≪低血糖時の対処方法≫
※余裕があれば血糖を測りましょう。
  • ブドウ糖(10g)、等分を含む缶ジュース(ゼロカロリーは避ける)を飲む。
  • 食事が食べられるときは、すぐに食べる。
  • 食事まで時間があるときは、捕食(80kcal程度)する。
コーラ
ロールパン おにぎり ビスケット チーズ 牛乳
ロールパン
1個
おにぎり
1/2個
ビスケット
2〜3枚
チーズ
20g
牛乳
120ml
ブドウ糖、ペットシュガー、ジュース、飴などすぐに摂取できるものを日頃から携帯しておくと安心です。またスポーツなどでいつもより運動量を多くする場合は運動中、運動後の低血糖予防のためあらかじめ80キロカロリー程度の補食をしておきましょう。(内服療法・インスリン注射参照)

糖尿病の診断
Q.1 糖尿病はどのように診断するのですか?
A.
≪血糖値≫
空腹血糖値:126mg/dl以上
または随時200mg/dl以上
≪ヘモグロビンA1c≫
6.5%以上

これらの条件を満たした時に糖尿病と診断されます。

Q.2 ヘモグロビンA1cとは何ですか? ヘモグロビン A1c測定装置
ヘモグロビン A1c測定装置
A.

過去1〜2ヶ月間の血糖の平均値を示す指標で、正常値は6.2%未満です。診察当日や数日前から食事制限や運動をしてもこの数値は改善されません。

平成24年4月より、国際標準化にともない、新しいHbA1c(NGSP)が使われます。


Q.3 糖尿病の治療はどのように進めるのですか?
A. 受診時には下記の検査を診察前に行い、その結果をみて診察します。
@尿検査(一般的に血糖値が160mg/dl以上で尿中に糖の反応が出ます)
A血液検査(血糖値、ヘモグロビンA1c)
≪血糖コントロールとその指標≫

 

不十分

不良

不可

ヘモグロビンA1c(%)
(NGSP)

6.2未満

6.2〜6.9未満

6.9〜7.4未満

7.4〜8.4未満

8.4以上

空腹時血糖値(mg/dl)

80〜110未満

110〜130未満

130〜160未満

160以上

食後2時間血糖値(mg/dl)

80〜140未満

140〜180未満

180〜220未満

220以上

『優』を継続することが目標です!

運動療法
☆注意:

運動療法を開始するにあたっては事前に必ず診察を受け、
主治医と相談のうえ始めてください。

Q.1 運動療法をするとどのような効果がありますか?
A. 運動することによって血液中のブドウ糖や脂肪酸の利用が促進されて血糖値が低下します。また、運動を続けることによりインスリンの働く効率が良くなり糖尿病に効果があります。その他にも体重の減量、高血圧や高脂血症などの改善や予防、筋力の維持、心肺機能の向上やストレス解消にも大きな効果があります。
運動の利益
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.2 どのような種類の運動が良いですか?
A. たまにしか行わない運動では効果が期待できないため「いつでも・どこでも・一人でも」長続きできる運動が重要です。歩行・ジョギングなどの全身運動や、膝への負担や肥満が気になる方は水中歩行が適しています。運動し慣れていない人は車から自転車での移動にする、エレベーターから階段を使用するなど身近なところから初めてみましょう。

Q.3 どのくらいの時間運動したら良いですか?
A. 歩行運動では1回15〜30分間の運動を1日2回、少なくとも1週間に3日以上は行いましょう。食後の高血糖をおさえるため食後1時間位から行うのが最も効果的で1日1万歩が目標です。運動の強度としては「ややきつい」といった体感を目安にして速歩での歩行が良いでしょう。
1回15分以上 週に3日以上
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.4 運動療法の注意点はありますか?
A.

@内服療法(主にSU薬)やインスリン治療中の方は食前の空腹時に運動を行うと低血糖を起こす危険があります。
A特にインスリン治療中の方は運動性低血糖が起こりやすく、運動中または直後だけでなく運動終了後十数時間後にも発生することがあるため注意してください。
B腰や膝の関節に痛みがある方や天候の悪い場合は、水中歩行や腰痛体操などに変更してください。
C脱水予防のために水かお茶で水分補給を必ずしてください。(スポーツドリンクは糖分が入っているため禁)
D運動療法を禁止または制限しなければならない方

  • 血糖コントロールが不良(概ね空腹時血糖値250mg/dl以上)の方や進行した合併症(眼底出血、腎不全、狭心症等)のある方
  • 足に感染(壊疽)のある方
  • 重い感覚神経障害(足に強い痛みやしびれ)のある方
  • 糖尿病性自律神経障害(起立性低血圧・安静時頻脈)のある方

Q.5 運動療法をすれば食事制限をしなくても良いですか?
A. 運動療法が糖尿病治療の全てではありません。運動で消費できるカロリーはそれほど多くなく、その分食べてしまっては意味がありません。食事療法をキチンと守りながら運動療法を行ってください。
  〔 例:ショートケーキ1個で約300kcalを摂取します。一方、ウォーキング25分でも約100kcalの消費です。〕


ショートケーキ
ウォーキング

食事療法
Q.1

糖尿病の食事療法とはどんなものですか?

A.

食事療法は糖尿病治療の基本で一日の摂取カロリーを適正量(指示されたカロリー)にし、炭水化物・蛋白質・脂質とビタミンやミネラルをバランスよく摂り、規則正しく三食を食べることで特別な食事療法ではありません。

≪注意点として…≫
@腹八分目とし朝・昼・夕食をほぼ均等に配分し、夕食に偏らないように抜いたりまとめ食いは避けましょう。

A低カロリーで食物繊維を多く含む食品(きのこ、こんにゃく、海藻等)は糖質の吸収を抑え、食後の血糖値上昇をゆるやかにする効果もあり、満腹感も得られるため毎日の食事に上手く取り入れましょう。

B揚げ物や炒め物はカロリーが高いため蒸したり煮たりして油を控えた調理を工夫し、フライ物は衣を外して食べましょう。洋食や中華料理はボリュームのある単品が多いため、品数が豊富で栄養バランスの良い和食をお勧めします。

C早食いは肥満のもと、ゆっくりよく噛んで食べましょう。

D食事する順番として、血糖値が上がりにくい料理から食べることが重要です。

  ≪例≫
 
野菜料理、
サラダ・海草
こんにゃく
きのこ
サラダ
こんにゃく
煮物

豆腐料理
大豆食品
豆腐
納豆



卵料理
ステーキ
刺身
目玉焼き

ご飯
いも類
ご飯
カボチャ
パン
サツマイモ
食事のタイミングと楽しむことも大切
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.2 一日の適正カロリーはどのくらいですか?
A. 一日の適正カロリーは標準体重と身体活動量(下記の表)の目安によって算出します。

適正カロリーの算出方法


≪身体活動量の目安≫

@軽労作の方 (主にデスクワ−ク・主婦 など)

25〜30kcal/kg標準体重

A普通の労作の方 (立ち仕事が多い職業)

30〜35kcal/kg標準体重

B重い労作の方 (力仕事の多い職業)

35〜 kcal/kg標準体重


例:身長165cmで軽労作の方は1.65×1.65×22=60kgが標準体重となり

標準体重より、 少ない(ヤセている方)場合は 60kg × 30kcal = 1,800
  多い(太っている方)場合は 60kg × 25kcal = 1,500

が適正カロリーとなります。

※肥満は過食の結果ですので、毎日体重をチェックしましょう。

Q.3 糖尿病になるとお酒は飲めないの?
A. 糖尿病治療(特にビグアナイド薬:メルビン等服用中)では禁酒が原則です。適量でやめられない、食欲が増しつい食べ過ぎてしまうなど食事療法がおろそかになるためです。血糖コントロールが良く、医師が認めた方でも160kcal(2単位)程度のアルコールが許容限度です。
  ビール 日本酒 焼酎 ウイスキー
  ビール中びん1本
日本酒
1合弱
焼酎
半合
ウイスキー
シングル2杯

Q.4 食事量を減らしたために空腹感が出てイライラします。間食をしても良いですか?
A. 血糖コントロールを乱す最大の原因は間食です。間食しない生活に慣れましょう。
空腹感が強くどうしても我慢できないときは野菜スティックや寒天ゼリー(糖分を抑え手作りしたもの)、おしゃぶり昆布、水やお茶等で気分を紛らわせましょう。コーヒー・紅茶を飲むときは砂糖やミルクを入れないでください。

内服療法
Q.1 糖尿病の経口薬(飲み薬)療法の種類と作用について教えてください。
A. 経口薬は食事療法、運動療法をキチンと行っているにもかかわらず、血糖コントロールが不十分なときに薬により血糖値を下げる治療法です。以下に薬の特徴と服用時の注意点について説明します。
 
インスリン分泌促進薬
@スルホニル尿素薬(SU薬) 商品名 ダオニール、グリミクロン、アマリールなど
  膵臓に直接作用しインスリンを分泌させて血糖を下げます。インスリンの分泌機能が保たれている方に適しており長時間作用するのが特徴です。服用により体重増加や長年使い続けると効果がみられなくなること(二次無効)があります。この薬は低血糖に注意が必要です。
A速効型インスリン分泌促進薬 商品名 スターシス、ファスティック、グルファストなど
  スルホニル尿素薬(SU薬)と同様に血糖を下げる薬ですが、薬の吸収および血液中からの消失(食後2時間程度)が早いのが特徴です。そのため食後血糖の高い方に有効です。必ず食直前に服用しないと効果がありません。食直前に服用すれば低血糖の出現はほとんど認められません。
インスリン抵抗性改善薬
@チアゾリジン薬 商品名 アクトス
  内臓脂肪に作用してインスリンの働きを高めて血糖を下げます。肥満の2型糖尿病に有効です。まれに肝障害を起こすことがありますので月1回の血液検査を受けてください。副作用として体重増加があります。
Aビグアナイド薬(BG薬) 商品名 メトグルコ、メデットなど
  肝臓で蛋白質や脂肪からブドウ糖を作ることを抑え、腸からのブドウ糖の吸収を抑制して抹消組織でのインスリンの効きをよくして血糖を下げます。肥満の方やスルホニル尿素薬(SU薬)の効果不十分(二次無効)の方に有効です。この薬の単独使用では低血糖を起こさずに血糖を下げるという特徴があります。
糖分吸収遅延薬
@α−グルコシダーゼ阻害薬 商品名 グルコバイ、ベイスン、セイブルなど
  小腸内での糖分の分解、吸収を遅らせて食後血糖の上昇を抑えます。食後に血糖が上がりやすい方に適しています。必ず食直前に服用します。食べ過ぎているとガスが出やすくなったり、お腹が張るような感じや便秘・下痢などの副作用があります。この薬では低血糖はまず起きませんが、スルホニル尿素薬(SU薬)やインスリン療法との併用により起きた低血糖はブドウ糖を飲んでください。いわゆる砂糖では低血糖状態は改善しません。
  ☆注意: 経口薬の服用に際しては患者様ご自身も薬の名前や効用、副作用を知っておくことが大切です。他の医療機関に受診する場合は服用している薬(お薬手帳)を医師に正しく伝えてください。
内服療法
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.2 経口薬を飲んでいるから食事は普通に食べても良いですか?
A. 薬の作用により血糖が抑えられているだけで、糖尿病自体を治すわけではありません。食べ過ぎると血糖コントロールが悪化して薬の効果も弱くなります。薬の効果を高めるにはご自身の1日の適正カロリー(食事療法Q.2参照)を守り、毎日の生活の中で食事療法と運動療法を確実に実行することが大切です。

Q.3 経口薬を飲むと空腹感が強く出るのですがどうしてですか?
A. 空腹感は血糖が一時的に下がり過ぎた時に現れる症状のひとつです。血糖コントロールが良い状態の方で食事(カロリー)が少なかった時、食事時間が遅れた時、普段より運動量が増えた時など薬が効き過ぎて空腹感が強く現れることがあります(症状Q.3参照)。また糖尿病治療で欠かすことができない食事・運動療法を守らず血糖コントロールが不良の場合(薬の効果が不十分と判断)には薬を増量することがあり、更に空腹感は強く現れます。このような悪循環に陥らないためにも食事・運動療法を規則正しく守りましょう。

Q.4 経口薬を飲み忘れたときは、どうしたら良いですか?
A. α‐グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬は食直前に服用するのが原則です。飲み忘れた場合は効果が現われないので服用しないでください。それ以外の薬は状況により判断がむずかしいので自己判断せず、あらかじめ対応方法を主治医に相談しておくことが大切です。指示どおり飲まないと血糖コントロールが乱れ高血糖状態が続くことにより、更に糖尿病の合併症が起きやすくなりますので注意が必要です。

Q.5 体調が悪くて食事が食べられないときは、経口薬はどうしたらいいですか?
A. 糖尿病の方は低血糖対策として絶食にしないことが大切です。食欲がなくても水分と糖分の補給に心掛け口当たりがよく消化吸収の良い食べ物(おかゆ、果物、ジュース、アイスクリーム 等)をできるだけ工夫して食べてください。自己判断で薬を中断せず、発熱、嘔吐、下痢が止まらず食物摂取不能のときは必ず主治医の指示を受け、早めに受診してください。(自己血糖測定をしている方は血糖値をお知らせください。)

インスリン療法
Q.1 インスリン注射の種類とその働きについて教えてください。
A. 私達本来のインスリン分泌は24時間一定の割合で少しずつ出ている「基礎分泌」と食後の血糖上昇に応じて勢いよく出る「追加分泌」の2つがあります。インスリン治療ではこれら2つの分泌で不足する分を注射で補うのがインスリン療法の基本です。以下にインスリン注射の種類と特徴について説明します。
 

追加分泌を補うインスリン

@超速効型 商品名 ノボラピッド注フレックスペン、ヒューマログ注ミリオンペン、アピドラ注ソロスターなど
  無色透明で食直前に注射することが可能で注射後15分で効果が現れ、その効果は1時間で最大となり3〜5時間続きます。私達の追加分泌パターンに最も似た製剤で各食直前3回の注射が一般的です。
A速効型 商品名 ノボリンR注フレックスペン、ヒューマリンR注ミリオペンなど
  無色透明で食事の30分前に注射することが必要です。理由は注射後効果が現れるまでに30分程要するためです。効果が最大になる時間は超速効型とほぼ同じですが、持続時間は8時間あります。各食事30分前3回の注射が一般的です。
基礎分泌を補うインスリン
B中間型 商品名 ノボリンN注フレックスペン、ヒューマリンN注ミリオペンなど
  白色懸濁製剤で注射後約1.5時間で効果が現れ、その効果は4〜12時間で最大となり24時間続きます。1日1〜2回の注射が一般的です。
C持効型 商品名 ランタス注ソロスター、レベミル注フレックスペンなど
  無色透明で注射後1〜2時間で効果が現れ、その効果は明らかなピークがなく24時間ほぼ一定に続きます。私達の基礎分泌パターンに最も似た製剤で1日1回の注射です。
上記の両者を組み合わせた混合インスリン
D混合型(@+B) 商品名 ノボラピッド30ミックス注フレックスペン、ヒューマログミックス25(or50)注ミリオンペン
  白色懸濁製剤で@超速効型との混合のため食直前に注射可能です。それぞれの製剤の作用特徴を併せ持っています(2峰性)。朝、夕食直前2回の注射が一般的です。商品名の数字は超速効型インスリンの混合割合(%)を表わしています。
E混合型(A+B) 商品名 ノボリン30R注フレックスペン、ヒューマリン3/7注ミリオペンなど
  白色懸濁製剤でA速効型との混合のため食事の30分前に注射することが必要です。朝、夕2回の注射が一般的です。商品名の数字は速効型インスリンの混合割合(%)や混合比(3対7)を表わしています。
  以上のように、インスリン注射の方法としては一人一人のインスリン分泌状態に合わせて製剤や注射回数にいろいろな組合せがあります。詳しくは糖尿病専門医にご相談ください。
  注意: 市販されているインスリン製剤にはインスリン注入器に装着して使用する「カートリッジ製剤」と「製剤+注入器一体型」の使い捨てタイプがあり、上記商品名は使い捨てタイプのみ示してあります。
インスリン療法
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.2 インスリンを注射する時の注意点を教えてください。
A. @注射前に混合型と中間型の白く濁ったインスリンはゆっくり大きく上下に数回振って均一に撹拌が必要です。それ以外のインスリンは液が透明なのでそのまま注射できます。
  A注射針は極めて細いのでインスリン液注入後6〜10秒程はそのまま針を抜かずに押し続けてください。
  B針を抜いてから注射部位を揉まないでください。
  C注射部位は腹部が一般的です。臍から2〜3cm離して左右交互に場所を変えて注射してください。位置を変えないと皮膚が固くなりインスリンの吸収が悪くなります。
  D使用開始(開封)までは冷蔵庫のドアの棚に保存し凍結に注意してください。一度凍結したものは使用できません。使用中のインスリンは直射日光を避け室内保存してください。また万一のために保管しているインスリンがありましたら有効期限に注意してください。
  E使用済みの使い捨てインスリン注射器および注射針は受診先の医療機関で処分してもらってください。
  F飛行機での旅行の際はインスリンを必ず機内に持ち込んでください。トランクなど荷物として預けると凍結や紛失の恐れがあります。

Q.3 インスリン注射を打ち忘れた時や、体調が悪く食事が食べられない時はどうしたら良いですか?
A. 注射を打ち忘れた時は使用しているインスリンの種類や、注射を忘れて経過した時間、現在の糖尿病コントロール状態で対処が異なります。あらかじめ主治医に相談しておくと共に、迷うときは必ず連絡する事が大切です。超速効型やそれを含む混合型インスリンは食事中や食後に思い出して注射をしても同じ効果が期待できます。また体調を崩して発熱した時や消化器症状の強い時など食べられないからとインスリン注射を中断すると著しい高血糖やケトアシドーシス状態(*)となる危険性があります。特に基礎インスリン分泌のない1型糖尿病の方は中間型や持効型インスリン注射を自己判断で絶対に中止してはいけません。口あたりのよい甘い物や果物、水分を摂り自己血糖測定をして主治医に連絡を取りましょう。
* ケトアシドーシス:著しいインスリン不足と脱水によって起こる意識障害です。

Q.4 糖尿病の初期治療としてインスリン注射をすると血糖コントロールが改善し、その結果インスリン注射をやめられるというのはホントですか?
A. ホントです。血糖値が上昇すると膵臓はインスリンを大量に分泌して血糖値を下げようとします。しかし、慢性的な高血糖が続くと始めはインスリンを大量に分泌していた膵臓もやがて疲れてインスリンの分泌も低下してきます。こうなるとますます高血糖となり、この悪循環を高血糖毒性と言います。陥りやすい状況としては糖尿病と知らず高血糖が続いている時、あるいはお薬(主にSU薬)を服用しているからと安心(油断)して食事や運動療法を十分に行わず高血糖が改善していないときです。この悪循環を断ち切るために各食後の高血糖状態に対し超速効型インスリン注射を使用して確実に血糖値を下げ、疲れていた膵臓を休ませます。その結果、治療前よりインスリンの分泌が回復するためインスリン注射を止めることができるのです。インスリン注射と聞くと「最後の治療」という印象が強いですが、むしろ糖尿病を悪化させないために始める治療法と言えます。
インスリン治療は高血糖の悪影響を減らし、膵臓を休息させる
糖尿病ビジュアルガイド 石井 均

Q.5 自己血糖測定は1日のうちいつ行うのが良いですか?
A. 決まった法則はありませんが、朝食前血糖は血糖コントロール状態の指標となり大切です。また、インスリン導入直後の方や血糖コントロールが不良でインスリンの種類や注射量を変更しなくてはならない方は、各食前食後と就寝前の計7回のデータが今後の治療方針を決めるうえで重要です。このこととは別に「低血糖かな?」と感じた時はその都度測定してください。これらの測定値は「血糖自己管理ノート」に記録し診察時にお見せください。

最新の治療
Q.1 糖尿病の新しいタイプの薬が出たと聞きましたが?
A. 食事をすると消化管からインスリン分泌を促進する物質が出ることが以前より知られており、その物質は「インクレチン」と呼ばれていました。最近の研究でインクレチンにはGIPとGLP-1があり、糖尿病の患者さんにGLP-1の作用を増強すると血糖値が改善することが分かりました。
GLP-1は小腸下部より分泌されインスリン分泌を促進しますが、分泌されるとすぐに血液中のDPP-4という酵素により分解されその活性を失います。それで薬としての効果を出すためにGLP-1の作用を増強するには、この分解酵素DPP-4を阻害する飲み薬と、GLP-1の作用は持っているけれど少し形態が異なるのでDPP-4で分解されないGLP-1類似の注射剤があります。どちらもHbA1c値で0.7〜1.8%程度の血糖値を改善します。この薬は血糖値が高いほどよく効き、血糖値が低い時は血糖を下げる効果が少ないので低血糖が起こりにくいよい作用を持っています。
 
現在発売されている製剤
@内服薬 商品名 ジャヌビア、グラクティブ、エクア、ネシーナトラゼンタなど
A注射薬 商品名 ビクトーザ、バイエッタなど

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